店舗を持たず年間売り上げ260億円をたたき出す企業
「折り返しご連絡いただき、ありがとうございます。○○会社の○○でございます。」
業務中であれば何気ない電話応答である。しかし、どこかhotな気分になった。
声質といい、丁寧さといい、イントネーションといい、いわゆる業者っぽくなくどこかで聞いたような・・・。
で、思い出したのが、再青館製薬所オペレーター300人、一日7000件の電話。彼女たちは
なんと一日1億円の売り上げをたたき出す。しかも一店舗も持たずに・・・。この企業の西川通子会長はすごいです。
1982年前社長から倒産した再青館製薬所を引き継いだ西川現会長。3億円の借金からのスタートであった。
テレマーケティングの手法を国内で始めて導入し、折しもコンピュータが発達し始めた時期で、電話、コンピュータ、端末を融合させたシステム(CTI)を日本で最初に手がけた。
倒産当時は年間5000万の売り上げが7年後には年商100億円を達成。実質7年間で100倍の急成長。
しかし、100億円達成の過程で相当な無理をしていた。1990年代初頭に「電話公害」を引き起こすことに。アウトバウンドによる押し売りや無理売りなどによりクレームが続出。返品を一箇所に集めると山のように積み上がり当時の金額で7000万円分になった。そこで西川会長(当時社長)は一大決心を。「3ヶ月間、一切アウトバウンドを中止」し、TM(テレマーケティング)改革を断行。インバウンド比率を上げ、同時に「お客様満足室」を設置し、徹底して顧客の声を集め、分析、改善した。
現在はインバウンドとアウトバウンドの売り上げ比率は完全に逆転し、売り上げ260億円の90%がインバウンド。100人の顧客がいれば90人は顧客のほうから注文の電話が入ってくるまでに改善された。再春館は急な成長は望まない。実際100億円から200億円までは15年を要している。この「TM改革」こそがお客様満足を追求する原点だそうです。
再春館製薬所は社内のコミュニケーションが商品力・顧客満足度を高めると考えている。
コミュニケーションの活性化と情報共有化を促進するため本社事務所のフロアはワンフロア4500㎡、屋根を支える柱は3本しかない。全社員が仕切りのないワンフロアに同居している。ここには社員だけでなく広告代理店の電通・ADK・博報堂あるいは運送会社のヤマト・日通、印刷会社の凸版といった協力会社の常駐スタッフも机を並べている。もちろん社長室や役員室もこのワンフロアにある。
そのほか、会長直轄の厨房隊(社員食堂、チェックは会長直々に)、クリーン隊、美花隊などがある。
顧客の情報を共有化するために様々な工夫や最新の機能を利用している。たとえば300人のプリーザー(オペレーター)が一日8000件の電話応対をする。そこからお客様の要望などが吸い上げられ商品開発に繋がる。
びっくりしたのが特定のお客に対応する「担当制」を敷いていない。顧客を1分、2分と待たせないことを第一としている。お客様の対応について手書きによる情報を共有化している。昔はこのデータ(しおりと呼んでいる)をスキャンして取り込んでいたそうだが、今はデジタルペンで手書き記録をしたものが瞬時に300人のプリーザーに共有化されている。
「多くの人々にたくさんの商品を売りたいとは考えていない。商品を気に入ってくれた人に末永いお付き合いをしていただきたい。当社と顧客との間で価値観を共有し、ずっと使い続けられる再春館を選んでもらっている。」
やはりこの企業もリピートビジネスなんだと思った。リピーターを増やすには顧客満足主義を貫く意外にないと思った。またスタッフの成長がそのまま売り上げに繋がるのだと思った。