ロバート・キャパ賞
こんにちは、根本です。さて、今日のお話は…。
戦争写真を対象としたロバート・キャパ賞。
ロバート・キャパとは20世紀を代表とする戦場カメラマンです。
代表的な写真といえば「崩れ落ちる兵士」でしょうか。この写真はスペイン内戦時、銃で撃たれ倒れる瞬間の人民戦線兵士を撮ったものです。
では、なぜロバート・キャパが後世に名を残すこととなったのでしょうか。
彼の残した写真の中にピントがずれたものが数枚ありました。
それは、1944年ノルマンディー上陸作戦で撮影した11枚の写真です。(実は100枚以上撮影していましたが現像に失敗してしまい、まともな写真は11枚となってしまいました。)
これらの写真は「キャパの手の震えによるボケ」として発表され、現実の状況をリアルに映し出しているとして称賛されました。
ノルマンディー上陸作戦といえば、スティーブン・スピルバーグが製作した「プライベート・ライアン」を思い出します。非常にリアルな戦闘シーンで話題となりました。
あれだけリアルな映画もフィクションでしかありませんが、キャパの残したピンボケの写真はノンフィクションなのです。
フォトジャーナリストの主な役割は、受け手に現実の出来事を表現し伝えることにあります。私達受け手は直接出来事を認識することが難しいため、彼らのようなジャーナリストを介して情報を得ます。ただ、写真でさえもこぼれおちてしまう現実があります。
ピンボケ写真は失敗作と思われがちですが、彼が残したそれは現実を映し出した記録として最も価値があるのかもしれません。